カードローンやクレジットカードのリボ払いで返済するとき、残高スライド元利定額リボルビング方式で支払いをしていくことが多いです。
ただこの返済方式、「難しくてわからない」という人も多いですよね。
一見難しいように感じますが、残高スライド元利定額リボルビング返済方式は「残高スライド方式」や「元利定額返済方式」というように言葉を分解することで仕組みを理解しやすくなります。
この記事では、残高スライド元利定額リボルビング返済方式について詳しく解説していきます。
目次
残高スライド元利定額リボルビング返済方式は「残高スライド方式」と「元利定額返済方式」を合わせたもの
金融業者が決めた一定の金額を毎月返済するリボルビング払いをベースに、いろいろな要素を詰め込んで返済金額を決めているのが残高スライド元利定額リボルビング方式です。
「残高スライド元利定額リボルビング方式」と言葉が長いので、どうしてもややこしく感じてしまうかもしれません。
しかし残高スライド元利定額リボルビング方式は、リボルビング払いのほかに残高スライド方式と元利定額方式の2つが合わさっているものだとまずは考えましょう。
「残高スライド方式」と「元利定額方式」のそれぞれの意味を分けて知ることで、残高スライド元利定額リボルビング方式について理解しやすくなるでしょう。
言葉を分割して1つずつ確認していくことで、返済金額を割り出す仕組みをしっかりと知ることができるのです。
まずは1つめの返済方式、残高スライド方式の仕組みについて確認してみましょう。
1つ目の返済方式「残高スライド方式」とは
残高スライド元利定額リボルビング方式を構成している1つ目の返済金額計算方法が、残高スライド方式です。
「残高スライド方式ってどういうこと?」となかなかイメージが付きにくいですよね。
まず残高スライド方式の「スライド」とは、変化するという意味としてとらえてみましょう。
残高スライド方式をやわらかくかみ砕くと、以下のような意味になります。
元金によって、返済金額が変化していく返済方式のこと。
また「元金」とは、現在借入をしているお金の残り金額のことを指します。
つまり毎月の返済額が借入金額から返済した分を差し引いた、現在借入をしている元金によって変わるということです。
そして残高スライド方式では、毎月の返済が終わった後に利息の計算がやり直されます。
残高スライドリボルビング方式の毎月の返済額は?
リボルビング払いのシステムが加わると、金額の変わり方が少し変則的に。
残高スライドリボルビング方式の場合、元金が一定金額を下回ると返済金額が変わるようになっています。
たとえば、残高スライドリボルビング方式で50万円借りたときの毎月の返済額は以下のようになります。
【50万円借りた場合の毎月の返済額(残高スライドリボルビング方式)】 | |
返済後の残高 | 毎月の返済額 |
50万円~41万円 | 10,000円 |
40万円~31万円 | 7,000円 |
30万円~21万円 | 5,000円 |
20万円~11万円 | 3,000円 |
10万円~ | 1,000円 |
このように、返済後の元金が減ることによって毎月の返済額も同じように減っていくのが残高スライドリボルビング方式です。
残高スライドリボルビング方式という返済方式を使用している金融機関は多いですが、そのほとんどが数万円~10万円ごとに返済金額が切り替わるようになっています。
ほとんどの場合借りている残高に合わせて自動的に返済額が切り替わるようになっていますが、もしかしたら切り替わらないまま同じ返済額で払い続けているかもしれません。
もし残高スライドリボルビング返済方式で返済をしているの場合は、残高が減ったときに一度毎月どれだけの金額を返済しているか確認してみるのもよいでしょう。
このように、残高スライドリボルビング方式では無理のない範囲で少額を支払っていくことができる返済方法です。
毎月の返済額が減るため一見お得な返済方法にも見えるかもしれませんが、じつはそれがデメリットもあるのです。
次に残高スライドリボルビング方式のデメリットについて注目してみましょう。
残高スライドリボルビング方式返済期間が長くなってしまう
残高スライドリボルビング方式の場合、残高から返済額を毎月計算し直すことで毎月の返済額をなるべく低く抑えることができます。
しかし毎月の返済額が減るということは残高が減るスピードも遅くなるということであり、完済までの期間が長引いてしまうのがデメリットです。
毎月の返済額と返済期間の関係を図にしました。こうしてみると、返済期間がかなり長くなってしまいますね。
また、返済期間が長くなるということは当然利息を払い続ける期間も長くなるということです。
そうなると、毎月の返済額を減らしたばかりに「自分が想定していた金額よりも多くの利息を支払い続けていた」ということにもなりかねません。
残高スライドリボルビング払いには、毎月の返済額が楽になるぶんこういったリスクも兼ね備えているということなのです。
返済の期間が長くなるほど、支払う利息は増えていくということを覚えておきましょう。
次は元利定額方式の仕組みについて解説します。
2つ目の返済方式「元利定額方式」とは
元利定額方式とは、毎月支払っている金額のなかに元金と利息が含まれた状態になっている返済方式のことをいいます。
ここも、言葉だけではイメージが付きにくいので図を用意して説明しましょう。
たとえば、金融業者に毎月10,000円ずつ返済をするということになったとします。
その場合、元利定額方式だと10,000円の毎月の返済額のなかに「元金と利息が含まれている」ということなのです。
図からも分かる通り利息も含んだ状態で毎月の支払いをおこなっていくことになるので、実際に減ることになる元金は10,000円よりも少なくなります。
たとえば利息が1,000円だった場合、毎月の返済額が10,000円のうち9,000円が元金から減るといったイメージです。
毎回コツコツ返済してもなかなか元金が減らないので、返済期間がどうしても長くなってしまうのが元利定額方式の辛いところですね……。
しかも元利定額方式に残高スライドリボルビング方式の仕組みが加わると、さらに元金の減りが遅くなってしまいます。
残高スライド元利定額リボルビング方式の元金と利息の関係
ここで、残高スライド方式と元利定額方式のおさらいをしておきましょう。
■残高スライド方式
元金によって、返済金額が変化していく
■元利定額方式
毎月の返済額のなかに「元金+利息」が含まれる
この2つの返済方式と、毎月の返済額が一定になる「リボルビング払い」を合わせたものが、残高スライド元利定額リボルビング方式というわけなのです。
残高スライド元利定額リボルビング方式では、一定に決められた毎月の返済額のなかで常に元金と利息の内訳が変わっています。
図にしてみると以下のようになります。
【残高スライド元利定額リボルビング返済方式での利息と元金の内訳】
このように、残高スライド元利定額リボルビング方式では返済回数が少ないほど毎月の返済額に含まれる利息の割合が多くなるのです。
そのため返済を始めたばかりのころは「返済しているはずなのに、あまり元金が減らない……」と感じるかもしれません。
ただ返済を長く続けていくことで利息の割合も少なるため、元金が減るスピードが徐々に速くなります。
いつまでたっても返済が終わらないというわけではないので、安心して返済を続けても大丈夫です。
ここまでの話の要点を以下にまとめました。
- 残高スライド方式と元利定額方式リボルビング払いの組み合わせ
- 毎月の返済額が「一定」である
- 元金(借入残高)によって返済額が変わる
- 毎月の返済額に「元金+利息」が含まれる
- 返済期間が少ないときは、利息を多く払う
- 返済を続けると利息が減り、元金が減るスピードが上がる
「いろいろ覚えることが多くて大変」という方は、少なくともこの6つのポイントをおさえておきましょう。
ただクレジットカードやカードローンには、元利定額方式以外にも返済金額の決め方があります。
残高スライド方式と組み合わせて使われることも多いので、かいつまんで説明しておきましょう。
残高スライド方式や元利定額方式以外の返済方式もある
毎月の返済額を決める方法は、残高スライド方式や元利定額返済方式だけではありません。
ほかにも複数の返済方式があるのです。
- 元利定額返済方式
- 元利定率返済方式
- 元金定額返済方式
- 元金定率返済方式
クレジットカードやカードローンの返済で使われている返済方式には、以上のものがあります。
似たような文字が並んでいて少しわかりにくいかもしれませんが、この4つは「元利・元金・定額・定率」のどれかを組み合わせた返済方式となっているのです。
元利と定額については元利定額返済方式でお話ししたので、ここではおもに元金と定率とはどういうものかを解説していきます。
定率方式は「利率が一定」になる返済方式
残高スライド定額リボルビング方式の解説でもお話しした通り、定額とは返済していくときの毎月の返済額が常に一定になっていることです。
一方、定率方式では金額ではなく常に一定の利率を使って返済金額を計算します。
もしも定率方式を残高スライド方式と併用した場合、毎月の返済額を差し引いた元金に毎回同じ利率を使って再計算されます。
そうなると、毎月の返済額は定額のときと違って毎回変わってくるのです。
たとえば、借入先から30万円を借りて「毎月10%の定率方式での返済」となったとしましょう。
その場合、毎月の返済額は以下のように変化します。
【例.定率10%で30万円借りた場合の毎月の返済額】 | ||
返済回数 | 元金 | 毎月の返済額 |
1 | 300,000円 | 30,000円 |
2 | 270,000円 | 27,000円 |
3 | 243,000円 | 24,300円 |
4 | 218,700円 | 21,870円 |
5 | 196,830円 | 19,683円 |
※一例のため、利息を計算に含んでいません
イメージとしてはこのような流れで元金から10%ずつのお金を返済していくということになります。
ただ、定率方式は以下の箇条書きのようなややこしさもあって、ほとんどの金融業者で使われなくなっているのが現状です。
- 毎月の返済額が変わって分かりづらい
- 完済をするまで利息計算が続く
先ほどの表の4~5回目の返済回数を見てもらうとわかりますが、返済回数が増えるについて毎月の返済額が複雑になるのです。
そのため、多くのカードローン会社などでは毎月の返済額がわかりやすい元利定額方式を採用しているところが多くなっています。
定率方式よりも、毎月の返済額が固定になる元利定額方式のほうがお金を借りる側にとっては返済計画が立てやすいです。
元金方式は元金とは別に利息を毎月支払うことになる
つづいて、元利方式と元金方式の違いについて見ていきましょう。
定額や定率関係なく、元金と利息をひとまとめにして扱っているのが元利方式です。
定額であれば決まっている金額のなかに元金と利息が両方含まれるというイメージです。
元金返済は元利返済とは違って元金が常に一定の金額になるか、一定の利率を使って計算することになります。
元金定額方式で元金10,000円を毎月返済していく場合だと10,000円にプラスして利息を支払っていくことになるのです。
元利定額方式と比べた場合、このような違いがあります。
■元利定額方式
毎月の返済額に「元金+利息」が含まれる
■返済額の例
10,000円(この内訳に元金+利息)
■元金定額方式
毎月の返済額は元金と利息を別に支払う
■返済額の例
10,000円+利息
元金定額返済方式を利用すると、返し終わるまでの毎月の返済額は図のように変わっていきます。
元利定額方式の図と見比べると、毎月の返済額がかなり違ってくることが分かるのではないでしょうか。
どうしてこのようになるかといいますと、元金定額方式は毎月に支払う元金が固定されているからです。
元金定額方式の場合、返済を始めたばかりのころは支払う利息分の金額が大きくなります。
少し大変に思うかもしれませんが、それは序盤のうちだけで返済期間が長くなるごとに毎月の返済額が減っていきます。
元金が減るスピードが速くて一定なため、元利定額方式とは違って完済までの返済期間が短くなるのです。
返済期間が短いほど利息がかかる期間も短くなるので、完済までの利息総額は元金定額方式のほうが少なくなります。
元利定額方式は支払いは楽だが利息は高い、元金定額方式は序盤の返済が大変だが利息は低いということなのです。
金融業者からお金を借りると、用意されている複数の返済方法のなかから自分と相性がいいものを選ぶことになります。
生活スタイルに合った返済方式を選んで、計画的に返済をするのがよいですね。
残高スライド元利定額リボルビング方式の注意点
これまで残高スライド方式や元利定額方式など、借りたお金を返すときのさまざまな方法をご紹介しました。
ただ、多くのクレジットカード会社やカードローン会社で使われているのは残高スライド元利定額リボルビング方式です。
ここでは、残高スライド元利定額リボルビング方式で返済をしていく際の注意点を解説していきます。
残高スライド元利定額リボルビング方式では追加の借り入れに注意
残高スライド元利定額リボルビング方式では、毎月決まった金額を返していきます。
少ない毎月の返済額で支払いを続けられるため返済計画が立てやすいのです。
しかし追加の借り入れをした場合には、毎月の返済額が増えることがあるので注意が必要です。
あくまで一例としてですが、残高スライド元利定額リボルビング方式で追加借り入れをしたときの毎月の返済額の変化をグラフにしました。
以下の折れ線グラフが毎月の返済額の変動を表したものになります。
このように追加の借り入れをすると毎月の返済額も増えていき、支払いが進むと毎月の返済額が減っていくのです。
「残高スライド定額リボルビング方式は毎月の返済額が決まっているから安心」と考えてしまうのはよくありません。
油断して追加の借り入れを繰り返してしまうと、毎月の返済額がさらに増えてしまうおそれがあるからです。
残高スライド元利定額リボルビング方式を採用しているカードローンを利用している場合、追加の借り入れをした場合の毎月の返済額を確認しておきましょう。
「借入残高」という言葉は「借入『後』残高」を指していることもある
返済方式に「残高スライド方式」を取っている消費者金融やクレジットカード会社は多いです。
しかし書かれている「残高」という言葉が「残高『後』」という、いちばん後に借り入れたときの残り金額を指している場合もあるので注意しておきましょう。
その場合の残高スライド方式では、追加の借り入れをしたときだけ返済金額の計算をやり直すことになります。
そうなると、追加の借り入れがない間は返済をして残り金額が減ったとしても、高い金額で返済を続けることになるのです。
逆に、追加で借り入れた金額次第ではこれまで支払っていた返済金額よりも少なくなる場合もあります。
借入後を指している残高スライド返済方式になっていると、変則的に毎月の返済額が切り替わることになるので注意が必要です。
長い返済期間は繰り上げ返済で短縮できる
この記事で解説していきましたが、残高スライド元利定額リボルビング方式はどうしても返済期間が長くなってしまいます。
返済期間が長い代わりに多くの利息を金融業者に支払うことになるので、結果的に完済までにかかる利息額が高くなるのが気になるところですよね。
「利息が高くなるのが気になる」のであれば、繰り上げ返済をして返済期間の短縮をしてみましょう。
繰り上げ返済とは、毎月の返済額とは別に自主的に多く支払いをすることをいいます。
追加で返済額を支払えば元金の減りが早くなり返済期間が短縮されるので、そのぶん完済までに支払う利息額が低くなるのです。
繰り上げ返済の方法は各金融業者によって違いますが、基本的には金融業者に問い合わせて繰り上げ返済の手続きをすることになります。
ただ無理に繰り上げ返済を進めると今度は毎月の支払いがきつくなるので、余裕があるときにおこないましょう。
残高スライド方式などを理解して計画的に返済しよう
とくにカードローンやクレジットカードのリボ払いを始めたばかりの方は、残高スライド元利定額リボルビング方式を覚えるのは難しいかもしれません。
しかし、残高スライド方式と元利定額方式を分けて覚えることでどんな返済方式なのかわかりやすくなるでしょう。
■残高スライド方式
元金によって、返済金額が変化していく
■元利定額方式
毎月の返済額のなかに「元金+利息」が含まれる
さらに、残高スライド元利定額リボルビング方式で抑えたいポイントは以下の通りです。
- 残高スライド方式と元利定額方式リボルビング払いの組み合わせ
- 毎月の返済額が「一定」である
- 元金(借入残高)によって返済額が変わる
- 毎月の返済額に「元金+利息」が含まれる
- 返済期間が少ないときは、利息を多く払う
- 返済を続けると利息が減り、元金が減るスピードが上がる
また、残高スライド元利定額リボルビング方式は返済期間が長くなるので利息に気をつける必要があります。
繰り上げ返済をすることによって返済期間を短くできますが、余裕のある範囲で計画的に返済をするようにしましょう。